漏水トラブルの種類と原因・対策徹底解説①

最新更新日 2024年02月06日
執筆:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士 三好 貴大

※以下の記事は動画を文字起こしし、ChatGPTを使用して要約したものに加筆修正しています。
動画内容と若干異なる部分もありますので、合わせてご覧いただけますと幸いです。

こんにちは、三好貴大です。

今回は、大家さんのための賃貸管理~漏水トラブル編~として、「漏水トラブルの種類と原因・対策基本解説①」と題して解説します。

賃貸経営を行っているとさまざまなトラブルが発生しますが、漏水トラブルは原因の特定が難しく、頭を悩ませるケースが多いです。
漏水トラブルにはいくつかの種類があり、それぞれの原因とよくあるパターンを理解しておくことで、トラブル発生時にもスムーズに、焦ることなく対応できるようになります。

また、漏水トラブルを未然に防ぐことも非常に重要です。
今回は主に漏水トラブルの種類と原因について解説し、一つの事例を紹介します。

次回以降、実際の対策方法や事例を解説しますので、漏水トラブルの基本を学んでいきましょう。

①漏水トラブルの主な原因

主な漏水の原因には3つあります。

1.雨漏り

屋上の防水やシーリング(目地材)、外壁の見えないクラックが漏水の原因になることが多いです。
瓦やスレートの勾配屋根で漏水になるケースは少ないですが、陸屋根のような平坦な屋上では、シート防水やウレタン防水(塗装系)が劣化して亀裂が入ることで漏水するケースが多いです。

シーリングは10年ほどで劣化し、口が開いたり裂け目が入ったりして水が入ることが多いです。
その他、換気口からの水の侵入や、外から見ても原因が分からない隠れたクラックからの水の侵入もあります。
これらが雨漏りに関する漏水の代表的なパターンです。

2.給水管・給湯管(たまに追いだき管)

キッチンや洗面台の水洗から漏水している(付け根から水がチョロチョロ出ている)時には、主に内部のパッキンが劣化していることが多いです。
給水管・給湯管の管と管の繋ぎ目の部分(ジョイント)を継手と呼びますが、ここから漏水しているケースも非常に多いです。
たまに管が非常に古くなっていて、小さい穴(ピンホール)が開いて、そこから水が出てきてしまっているケースもあります。

3.排水管

排水系の場合には、継ぎ手から漏水している、あるいは穴が開いて漏水しているケースもありますが、非常に珍しいです。
ほとんどは排水管が詰まり、排水した水がオーバーフローし、溢れ出てしまうケースです。

②漏水原因の特徴

それぞれの漏水原因には特徴があります。

1.雨漏りの場合

名前の通り、雨が降った時に漏水するケースが多いですが、雨が止んだ後に水が出てくることがあります。
しかし、雨漏り系では晴れた日が続いているのに、いきなり水が出ることはありませんので、基本的には雨が関連しています。

2.給水管・給湯管の場合

常に水が充満しており、管には圧が加わっているため、少しでも漏れる状況になると水が出続けることになります。これにより、常に漏水することが特徴です。
追いだき管からの漏水は珍しいケースですが、この場合、水が常に出るかどうかは状況によりますので、稀なケースとして認識しておくと良いでしょう。

3.排水系の場合

水を流した時のみ漏水するため、不定期に水が出る状況になります。
雨が降っていないし、常に水が出ているわけでもない、時折水が出る場合、排水系の問題が多いです。
雨漏りは雨が降っている限りは出続けるので、雨が降っているのに止まったという場合も排水管を疑いましょう。

③雨漏りの事例紹介

雨漏りに関する実際の事例を解説します。
ある5階建ての鉄筋コンクリートのビルがあり、その4階のテナントから「天井から水が垂れてくる」という連絡を受けました。

訪問すると確かに水が滴っている状態を確認しました。
このビルは鉄筋コンクリートでできており、電気の線などを通すためにあらかじめ設けられた空間から水が出ているようでした。

その時は雨が降っており、雨漏りである可能性が高いと考えられました。
水が続けて出るかどうかで雨漏りかどうかを判断する必要がありますが、雨がやんでから水が止まったことから、やはり雨漏りであると特定されました。

屋上に上がって調査しましたが、漏水している箇所は見当たらず、外壁からの漏水の可能性が高いと結論づけました。
本来は外壁に水をかけ続けて漏水するかどうかを検査する方法(散水検査)を実施しますが、テナントの業種として散水検査は好ましくないこと、今回は過去の修繕履歴(防水やシーリング)や築年数などを確認して外壁のクラックからの漏水が最も可能性が高いと判断したことから、外壁にタイル面に適した専用の塗料(セブンS)を塗装しました。

塗装後の外壁は目地が艶やかになっているため、目視で分かります。
これにより、その後の雨で漏水することはなく、問題が解決した事例となりました。

④雨漏りが発生したら

雨漏りが発生した際は、まず屋上の防水状態を確認してください。
次に、シーリングの劣化や口が開いてしまっている場所がないか、裂けている部分はないかを確認します。

また、台風の際に換気口から水が入っていないか、サッシ周りで原因がないかも探してください。
原因が見つからない場合は、外壁のクラックを疑います。

今回は漏水トラブルの種類と原因について解説しました。
次回は漏水が発生した時の対応方法や未然防止についても解説し、3回目には実際の対応事例をご紹介します。

ありがとうございました。

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